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 今日は仕事のあと、母と夜桜をみにでかけました。

私の住む近くの公園はちょうど隅田川沿いにあり、毎年春になるととても美しい幻想的な場所になるのです。

特に坂をのぼる途中に見えてくる桜のアーチがとても気に入っていて、

一度は大切な人を連れてきたい居場所でもあります。

moonandcherry2.jpg








毎年、我が家はお弁当をもって桜をみにいくのが春の楽しみになっています。

時間があるときは作るのですが、今週はお互いに忙しいので近くでお惣菜をいくつか選んで、

それから偶然みつけた「わらび餅」も手にとって、風流に和の心を味わうことにしました。

去年の春は手にした日本酒に、はらはらと桜の花びらが舞い落ちてきて、

とても美しかったです。私が生まれた頃にはもう天国にいってしまった

祖父もそれを「桜酒」と呼んで、楽しんでいたそうです。

ピクニックが大好きだった父もきっと喜んでいるだろうと思いました。

母は毎年必ず卵焼きをつくってくれていたので、

今年もないと落ち着かなかったようで、「どうしても…」といって買ってきました。

でも卵焼きだけはやっぱり、よその人が作ったのよりも、母が作ったものを食べたいと思ってしまいます。

甘すぎず辛すぎず、本当にちょうどいい味なのです。

砂糖やみりんのかわりに日本酒を使うのが我が家流です。

いつかこの味も受け継がなければならないと思いました。


日本人はやっぱり桜が好きだと思いますが、なかでも私にとって桜は特別な花です。

専門学校にいたとき中国語を専攻していた私は

2年になったとき入学式で科の代表としてスピーチをやることになったのでした。

その学校は我が家にとってはとても学費が高く、入るのだけでも本当はやっとでした。

でも、高校も私立だったのでずっと働きづめの親に、これ以上負担はかけたくないと、

自らも放課後、電車に飛び乗って駅から駅までの数分間に仮眠をとりながら、

身を削る思いで通ったのでした。勤めた先はお台場のフジテレビのすぐ横にあるホテルで

ルームサービスのオーダーを電話で受け、ウェイターとキッチンにその指示を出すという

仕事でした。聞き慣れないアラブ系の外国人客の話す特徴的な英語でだされる注文も、

的確に聞き分けて判断したり、クウェートの副大統領が

宗教上食べられないものを抜くようにキッチンに話を通したり、

18歳にして初めて大きな会社で責任のある仕事についたので、

とても緊張していて、

失敗の連続で精神的にも体力的にもきつい毎日でした。

帰宅すると夜中の12時近くなって、それからご飯を食べて3時頃寝て、

早朝にはおなじ学校のビジネスマン向けの教室の受付窓口のバイトをやったりして

一週間七日、ほぼ休みなく働き続けた学生生活でした。

8222dc4f.jpg高い目的意識と、情熱があったからこそ成し得たことで、

そこでの挫折と苦悩と挑戦が

その後の自分の内面を大きく変えてくれました。

仕事や語学力以上に、人の痛みがわかるようになったことが

最大の収穫だったように思います。



不慣れながらも一生懸命、夏休みもあまり遊ばずひたすら汗を流して

ようやく一年が過ぎ、訪れた春の休日にその公園を歩きながら

ふっと見上げたとき、桜が笑ってくれているようにみえたのです。

私はその桜をみてとても幸せな気持ちになりました。

その桜はまるで

「一年間よくがんばったね。これからもその気持ちを忘れず、

一つ一つの出会いに感謝して、より一層多くのことに挑戦していくんだよ」

と、私に語りかけてくれているようでした。

これから希望をもってそれぞれの学びをスタートする新入生たちにも

そんな出来事をありのまま伝えたかったのです。


そして今年。

その当時からずっと6年ほど文通していたアメリカ人大学生が、

ついに憧れの日本へやってきました。

私は一週間、ほとんど毎日彼とその友達と時間を共にし、

初めてみるたくさんの「日本」に感動したり、

笑ったり、驚いたりする彼らの表情や声を間近にし、

学生時代一緒に過ごした留学生の

たくさんの「?」が「!」に変わる瞬間の笑顔にふれることができた喜びをきっかけに

日本語教師を目指し始めた当時のことを思い出しました。

今回初めての本格的な英語での東京案内で、

自分にはまだまだ知りたいことがとてもたくさんあると感じましたし、

英語の上達に向けて今まで以上に真剣に取り組もうと心に決めました。

その彼についてはのちほどくわしく書くつもりですが、

私の人生にとって欠かせない存在であると気づきました。

一緒に来たシアトルの友達もみんな桜をみたがっていました。

ほんのタッチの差でその思いは叶えられませんでしたが、いつかまた必ず

今度はもっといろんな引き出しをもった自分になって

また彼らに桜をみせてあげることができたらいいなという願いが

桜の開花とともに決意に変わりました。

25歳の春みたこの桜が、これまでの中で最も意味深く

なんともいえない感謝の気持ちが心の底からわいてくるものでした。

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サリーさん、待ってました!
今晩は。

お~!超久しぶりの更新ですね~。(笑)
確かにこのところ、かなり忙しかったので、ブログの更新もなかなかままならないですよね。

ちょっと心配してたので、新しい記事が読めてうれしゅうございます。

アメリカのお友達が、遊びに来てくれてたんですね。6年も文通が続いてるなんて凄いね。
きっと、サリーさんのおもてなしで、楽しい日本滞在を満喫していった事と思います。

桜が見れなかったのは残念ですね。

また楽しい記事を楽しみにしています!
ごみつ 2007/04/02(Mon)00:17 編集
てへっ!(*^^*)ゞ
ごみつさん、ありがとうございます。

実は誕生日の日記も書きそびれたままだったり・・(T_T)

私の時間の感じ方と、文章の書き方がとても濃密なので、
どうしても書くための時間と、書くことに対する意識の集中が必要で。

大切な思い出だから丁寧に言葉を綴って残したいという気持ちがとても強いです。

でも今回は桜が散らないうちに書こうと決めて書きました。
自分なりの期限を決めた方が、無駄のない文章が書けるということがわかりました。

仕事も一段落してやっと気持ちにゆとりができました。ふぅ…

実は3月21日で私が本店へきてから丸1年経ちました!

優しくて懐の深いみなさんの支えがあって、なんとかやってこられました。
本当に心からの感謝でいっぱいです。

お一人お一人との対話のなかで、仕事の進め方や知識だけでなく、
精神面でとてもプラスになったことがたくさんありました。

今の自分の幸せはあの場所なくしては語れません。
友達に今の仕事やみなさんのことをお話しすると、いい職場なんだね~と、
とてもうらやましがられます(^^)
大変な舞台裏も、素敵なスタッフがいるからこそ乗り越えていけるのだと思います。

若い時のハードな経験があったからこそ、今はささやかなこともとても幸せに感じます。

昨年はまだ不慣れだったこともあり、仕事のことだけに意識を集中させていた一年でしたが、ようやくペースもつかめてきたので、今年は仕事+αでさらに充実した日々を送ろうと考えています。

今週もまた東京シティーガイドの研修があります。去年は疲れてほとんど参加できませんでしたが、アメリカの友人と6年越しで会うことができて、俄然やる気がでてきました。

25歳の今だからこそできることを精一杯やっていこうと思います。
沙り 2007/04/03 07:55
私も待ってました☆
久々の更新、私もごみつさんと同じくお待ちしておりました。

ブログをチェックするたびに、「まだ更新されてない、忙しいんだろうなぁ」

と思っていました。

サリーさんは、学生時代から働きづめだったんだね。 偉いよ!

私なんて同じ学校に行っていたけど、ただでさえ高い学費を出してもらっていながら、「海外研修に行かせてくれない」とよく愚痴ってました。

そのくせ、自分ではバイトもしなかったし。

親元を離れてようやく親のありがたみがわかった次第です・・・・(遅いって(>_<))

まだ若いのにサリーさんは私には真似できないほど、本当に偉い人です。

いつも思うんだけど、本当に文章うまいよね☆
憧れます。

ひとつ、ひとつの文章、言葉が丁寧に優しく書かれていて、私もそんなサリーさんの文章に近づけるよう頑張っていこうっと!思いました。

また更新楽しみにしています(^_-)-☆
くりすけ URL 2007/04/07(Sat)11:21 編集
ありがとうございます。
かわいいにゃんずの画像をみてはくりすけさんのことを思い出す、今日この頃です。

仕事はそんなにものすごく忙しいというわけではなかったのですが、

部屋のレイアウトが変わったり、なんとなく疲れていたりして

しばらくパソコンから離れていました。

広範囲の棚がえ作業も終わり、今はだいぶ落ち着いて

一つ一つのジャンルに力を注いでいます。

しばらく書けなかったポップも量産して、あんまり売上を期待していなかった

ハードカバーも思いのほか動いてくれてやりがいを感じています!

以前より外国人のお客さんもOn Japanの棚前で足をとめてくれるようになり、

この間はものすごくたくさんの観光客がひっきりなしにいろんな本を買って行ってくれて

とてもうれしかったです。

棚をいじると本が売れ出すのは、その本を並べている人の手から思いが伝わって

お客さんの心に届くからなんだろうなといつも思っています。

これからも思いを込めてよい棚を作っていきたいなと思っています。

くりすけさんの方はどうですか?また遊びにいきたいです☆
沙り 2007/05/01 21:05
無題
サリー様

おはようございます

「フランスカブレ」の掲示板のスキンを変えました。

(イタズラ動画貼られるんで…)

基本的には前の掲示板と似てますので、
これからも書き込みお願いします!

サリーはやっぱり頑張り屋さんだね。
桜も応援してくれてるね。

アメリカのお友達もサリーと一緒に
楽しい時間をすごしたんだろうな~♪

私も楽しい記事を楽しみにしてます!!
rippletonefrench 2007/04/20(Fri)08:59 編集
ごぶさたしております!
人が一生懸命つくっているホームページにいたずらするなんて、

かなりネクラですよね。よっぽどやることがないんでしょうね。

その技術と時間と情熱をもっと他のところに注げよと思います。

American Friendsとの一週間は今編集しているところなので、

できあがったら3月の日記として紹介する予定です。

楽しみに待っていてくださいね♪
沙り 2007/05/01 21:08
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HN:
沙り
年齢:
42
HP:
性別:
女性
誕生日:
1982/02/14
職業:
セレクトショップスタッフ
趣味:
ジョギング・写真      伝統芸能・祭・旅
自己紹介:
生後3ヶ月の頃
母に抱かれながら
生まれた喜びを
懸命に伝えようとする声

我が家で大切に
保管されている
カセットテープには
そんな私の
「言葉」と「人」への
純粋な思いが
残されています

交換留学先の
オーストラリア

高校演劇の稽古場と
体育館の舞台

留学生たちと語り合った
外語学院のカフェテリア

母国語とは何かを
教えてくれた
日本語教師養成学校

身を削りながら
学費を稼ぎ出した
グランドホテル

20代を語る
全ての背景となった
駅前の洋書売場

大好きな隅田川の
ずっと先にあった
浅草のゲストハウス

そして

旅人達のターミナル・・


気がつくと
その学び舎で得た事は
すべて
外国の方々の笑顔に
繋がっていました

日本語を学びたいと
心から願う人たちの為に
どんな形でも
教える場を設け
共に学んで行く事が
私の夢です

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